介護に携わる者として大切なのは、多くのことに気付ける存在であることです。例えば利用者の健康状態の変化や感情の変化など、より多くのことに気付くことができれば、それに応じたケアを提供することができます。そのためには、利用者をよく観察して変わったところがないかを探すように、日ごろから意識しておく必要があります。利用者の見た目だけではなく、話し方やにおい、または過去の病歴などもチェックしておくべきポイントとなります。利用者に寄り添ってコミュニケーションをとりながら喜びや悲しみを分かち合うことができれば、双方にとって満足度の高い介護サービスの提供が可能になります。
介護施設の利用者はそれぞれ置かれている状況が異なります。そのため、各利用者でコミュニケーションの手段を考えて接していかなければなりません。
例えば認知症の高齢者とコミュニケーションをとる場合、記憶力や思考力、判断力、見識力などが通常より低下している状態のため、なぜ自分がここにいて目の前にいる人はいったい誰なのかわからない、といった非常に強い緊張感や不安に襲われています。進行状況は人によって違うものの、否定をしない、声を荒げて接しない、というのが認知症の高齢者と接する際の基本的なコミュニケーション術となります。相手に寄り添うことでまずは安心感を与えることが大切なのです。
家族の迎えを待っていたり、いつ帰られるのかといった不安を抱えている利用者も多くいます。言葉で表さずとも、利用者の表情や目線でそういった不安をくみ取れることもあるでしょう。その際に「そのうち帰れます」などといった言葉で突き放してしまうと余計に不安を感じてしまいますので、まずはその不安な気持ちを共有してあげることを考えて対応してください。
また、言葉をかけることだけがコミュニケーションではありません。言葉以外で発せられる情報というのは多く、例えば腕を組みながら話を聞いているのは否定的態度の表れになります。こういった態度が出てしまうと利用者は不快感を覚えてしまいます。また、一方的なコミュニケーションにも注意しなければなりません。こちらから話をするよりも、むしろ相手の話に耳を傾ける意識を持ったほうが良いでしょう。
介護職員は介護を職業として自身の生活の糧とし、利用者は介護を受けながら日常生活を送る。双方の間に立場の上下はなく、あくまで対等の関係であるということを忘れないようにしましょう。利用者は好き好んで介護サービスを受けているわけではありません。それでも介護を受けなければならない状況にあるということを理解し、相手に寄り添う気持ちを持つことが大切なのです。
なぜ介護業界においてここまで接遇という言葉が重要視されるようになったのでしょうか。実は昔から重要視されていたのではなく、むしろ最近注目されるようになった言葉なのです。その理由を、ここでは詳しく紹介していきます。
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